世界的な人口増や中間所得者層の増加により、2050年には肉、魚、乳製品といった動物性タンパク質を中心にタンパク質需要量が現在の2倍必要になるという推計が出ています(FAO「World Agriculture Towards 2030/2050 The 2012 Revision」)。
主要なタンパク源たる畜水産は、大豆やトウモロコシといった穀物を飼料原料とする為に、動物性タンパクの増産を支えるための穀物供給量の増加が必須です。しかしながら、世界の耕作可能面積の拡張余地は大きくない他、気候変動、労働力不足、一部消費者の化学肥料・農薬や遺伝子組換え嫌悪など、その供給量拡大は容易でなく、食糧の需要と供給のバランスが崩れはじめています。
農業や畜産においてこれまで行われてきた、大量の化学肥料や飼料を投入してタンパク源を得るという方法、つまり、「カロリー(資源)を消費して、カロリー(食料)を得る」という方法では旺盛なタンパク需要を満たすことが出来なくなっています。
藻類は、資源を効率的に利用して増やすことが可能です。
弊社が主に扱っているクロレラは、これまでもホールフードとして活用されてきた歴史があり、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン・ミネラルを含んでいます。特にタンパク質に関しては、大豆やエンドウ豆に比しても遜色ないタンパク質回収効率を示すことから、食品市場(代替タンパク)への参入が大いに期待できます。
また、医療技術の発達や栄養改善が進み、平均寿命は世界的に上昇している一方で、先進国を中心に少子高齢化によってその医療体制を支える社会保険制度の課題が叫ばれる中で、病気にならない様に予防的に健康を保つ「未病」の重要性が高まっており、Well-beingやWellnessといったトレンドやAnti-agingからPro-agingといった潮流が生まれています。
弊社では、斯様な「未病」領域でも重要な鍵を握る健康食品分野で活用可能な多様なカロテノイドや脂肪酸といった成分を産生する藻類株を保有しています。健康食品は食品市場の中でも高付加価値商品が多く、機能性が確認される物質産生を行う藻類株の機能を解明し、大量培養を実現することにより先ずは健康・美容領域に活用できる素材、商品展開を目指しています。
また市場開拓は、自社のみではなく様々な業種の他企業と連携することで実現していきます。弊社は、藻類プラットフォーマーとしてのポジションを確立し、私たちや私たちの商品のブランディングとしての自社販売は視野に入れるものの、最終的には社会的に影響力の大きな企業と組むことで、より大きなインパクトを社会にもたらしたいと考えています。これを実現するために、共同研究・共同開発の取組みを進めており、将来的にはジョイントベンチャーの設立など、それぞれの持つ強みを活かした事業戦略をとっていきたいと考えます。