藻類は多様性に富んでいます。生物学的な特徴、好む環境、育つ速さ、含まれる成分は藻類によって様々です。藻類には海藻類のような大型の藻類と単細胞性の小さな微細藻類とが含まれますが、私たちは後者の微細藻類を扱っています(以下、微細藻類を単に「藻類」と呼びます)。
私たちはクロレラ類を中心とする藻類株を多数取り扱っています。それらの出自は様々で、野生株と呼ばれる自然環境中から分離された藻類株のほかに、東京大学の研究成果として作出された特徴的な株や、社内で独自に確立した株などがあります。これらを総称して「藻類ライブラリー」と呼んでいます。ライブラリーの中心はクロレラ類と呼ばれる緑色の単細胞藻類で、他にもイカダモ類やヘマトコッカス等を扱っています。用途や目的に応じて使用する藻類株をライブラリーの中から取捨選択して取り扱います。
ライブラリーの中には長い食経験のあるクロレラ類の他にも、様々な先行研究が実施され、堅牢な学術的バックグランドを備えた藻類株が多数含まれています。さらに、他社や他機関には保存されていないユニークで秘匿性の高い社内株もあります。
また藻類には、農作物などと同様に育種の概念があります。農作物は1世代が1年以上のものが多いため、育種に10年以上かかることも珍しくありません。一方で、微細藻類の多くは単細胞で「細胞分裂1回(数時間~1日)=1世代」であるため、短期間で育種と選抜を進めることができます。
育種の方法としては主に2種類の方法を用いています。1つは食品にも利用される重イオンビーム法です。これは、鑑賞用植物の色や模様に多様性を持たせたり、酵母に適用することで様々な風味のお酒を作り出したり等の用途で活用されている技術です。この技術を用いることで、遺伝子組み換えをしていない多様な藻類株を短時間で効率よく獲得することに成功しています。
もう1つは、特定の環境に順化させてゆく方法です。特定の環境で世代交代を繰り返すことで、その環境に適した株を選抜することができます。この技術は人類が農作物を改良する時に昔から用いられてきた方法です。これは藻類本来の環境に適応する力を利用した育種方法となっています。
これらの育種技術を活用し、私たちは、今後も技術資産の中核である藻類ライブラリーを拡充していきます。藻類株の維持には手間やコストが掛かりますが、それらは藻類の多様性を受け止め、利用するためには不可欠なものです。ご要望に応じて藻類株・培養技術をご提案させていただきますので、ぜひご相談下さい。